
SearXNGとは:究極のプライバシー重視型メタ検索エンジン
SearXNGは、個人のプライバシーを重視したオープンソースのメタ検索エンジンです。この記事では、SearXNGの特徴や利点、設定方法について詳しく解説します。個人情報の追跡を最小限に抑えながら、豊富な検索結果を提供するSearXNGの魅力に迫ります。
2024-04-280分で読むWeb
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DuckDuckGoを超える究極のプライバシー重視型メタエンジンSearXNG
SearXNGは、プライバシーを尊重し、自由な検索体験を提供するオープンソースのメタ検索エンジンです。
ユーザーの個人情報を収集せず、検索クエリを追跡しないため、安全で匿名性の高い検索環境を提供します。
したがって、プライバシーに配慮しながら豊富な情報を手に入れたい方にとって、SearXNGは理想的な選択肢です。
SearXNGは、ブラウジングの際のプライバシーを保護し、個人の情報が第三者に漏れる心配がない安全な環境を実現します。
この記事では、SearXNGの特徴や利点について詳しく紹介し、プライバシーを重視した検索がなぜ重要なのかを解説します。
さらに、SearXNGの設定方法や活用法についても解説し、ユーザーが安全で自由なインターネット検索を行うための手助けをします。
Table of Contents;
- SearXNGの特徴とは?GoogleやDuckDuckGoとの比較
- SearXNGの設定方法(セルフホスト)
- SearXNGの使用方法(既存インスタンスを探す)
- SearXNGをカスタマイズする
SearXNGの特徴とは?
SearXNGは、Adam Tauberが開発したSearXのフォークプロジェクトです。
SearXNGはプライバシー重視の開発思想のもと、Googleをはじめとする各種検索エンジンの結果セットをマージして応答するメタ検索エンジンです。
より具体的には、SearXNGは、検索リクエストからユーザーのプライバシーを保護するために3つの方法を採用しています。
具体的には、①検索サービスに送信されるリクエストからのプライベートデータの削除、②サードパーティサービスの検索サービスへの転送(広告を含む)の防止、③結果ページへ送られるリクエストからのプライベートデータの削除です。
これにより、ユーザーのリクエストはどのインスタンスでも匿名化され、IPアドレスもインスタンスのものに置き換えられます。
また、SearXNGは広告やトラッキングコンテンツを提供せず、検索結果に含まれるWebサイトに対し検索クエリやリファラーページも隠します。
GoogleやDuckDuckGoとの比較
Google Vs. SearXNG
SearXNGとGoogleは、運営方針やセキュリティアプローチにおいて大きな違いがあります。
まず、Googleは広告配信やユーザー行動の追跡のために検索クエリや個人情報を収集し、それを利用してターゲット広告を表示します。
Googleを使用すると、あらゆる検索履歴、アクセスしたサイトのURLやアクセス日時、Webにおける購買情報などから、あなたの趣味嗜好やニーズを分析し、広告の表示に利用されます。
これらの情報に基づく分析結果は、GoogleのMy Ad Centerから確認することができます。
一方、SearXNGはオープンソースのメタ検索エンジンであり、ユーザーのプライバシーを最優先に考えています。ユーザーの検索クエリや個人情報を収集せず、トラッキングも行いません。
また、SearXNGはオープンソースであり、そのソースコードが誰でも閲覧可能です。これにより、セキュリティの問題やバックドアの有無などが透明化され、コミュニティによる監視や改善が可能です。
他方でGoogleのソースコードは非公開であり、その運用方法やセキュリティ対策は外部からは透明ではありません。
総じて、SearXNGはプライバシーとセキュリティを重視し、ユーザーの情報を保護することを目的としています。これに対して、Googleはビジネスの利益や広告収益を重視し、そのためにユーザーの情報を活用しています。また、興味関心を判定するアルゴリズム等は全て非公開であり、どのような手段を経てどのような情報が収集されているのか、ユーザーが知る方法は限定的です。
DuckDuckGo Vs. SearXNG
DuckDuckGoとSearXNGはいずれもプライバシーに主眼を置いたプロダクトですが、運営方針やその仕組にいくつかの違いが存在します。
まず、DuckDuckGoの運営主体はアメリカの営利企業です。収益の一部は、検索結果ページ上の個人情報の収集やトラッキングを行わない広告から得られます。
一方、SearXNGはオープンソースのメタ検索エンジンであり、誰でも自分のインスタンスをホストすることができます。自らのインスタンスを立てるのが面倒ですか?SearXのインスタンスは世界中で複数存在するので、ニーズに合致するポリシーやセキュリティ措置を有するインスタンスを今すぐ利用することも可能です。
次に、検索エンジンの仕組みにも違いがあります。
DuckDuckGoは、検索エンジン(世界中のWebサイトをクロールし、検索語句に対して適切な結果セットを返す仕組み)にBingを利用しています。
Bingは、Bing Copilotの登場などによって利用者数は増加していますが、その結果セットの正確性には依然として課題があることが知られています。
一方で、SearXNGはユーザーが設定した複数の検索エンジンから検索結果を取得し、マージして表示することが出来ます。そのため、自身が求める情報に即したデータを得ることができ、ユーザー体験はDuckDuckGoより優れている可能性があります。
総じて、DuckDuckGoはシンプルで使いやすいプライバシー重視の検索エンジンですが、SearXNGはより柔軟性があり、ユーザーが自分に合った検索体験をカスタマイズできる点が異なります。
セルフホストでSearXNGを利用する
SearXNGは任意のサーバー上でホストし、自分好みにカスタマイズして使用することができます。
SearXNGはDockerイメージが配布されているため、Dockerがインストールされている環境であれば、次のコマンドを入力して今すぐ使用開始できます:
(下記の例はSearXNGのフォーク元であるSearXの説明です)
export PORT=80
docker pull searx/searx
docker run --rm -d -v ${PWD}/searx:/etc/searx -p $PORT:8080 -e BASE_URL=http://localhost:$PORT/ searx/searx
詳細はDocker Installation - Searx Documentationも確認してください。
Dockerが利用できない環境の場合、aptなどのパッケージマネジャを使用して手動でインストールすることも可能です。
ただし、依存関係のPython3がインストールされていることを確認する必要があります。
$ sudo -H apt-get install -y \
python3-dev python3-babel python3-venv \
uwsgi uwsgi-plugin-python3 \
git build-essential libxslt-dev zlib1g-dev libffi-dev libssl-dev \
shellcheck
詳細はStep by step installtion - Searx Documentationも確認してください。
既存インスタンスのSearXNGを使用する
もし、自分でインスタンスをセットアップしたくない場合は他人が公開しているSearXNGインスタンスをただちに利用することができます。
ここでは、SearXNG instancesを使ってSearXNGのインスタンスを検索する方法をご紹介します。
SearXNG instanceでインスタンスを探す
https://searx.space/
SearXNG instanceはオンラインで稼働しているSearXNG インスタンスをリストアップし表示するWebサービスです。
SearXNG instanceを使用することで、暗号化の強度やサーバー所在地、検索結果が返るまでのベンチマーク値から、最適なインスタンスを探すときに役立ちます。
また、より強固なセキュリティを求める場合は、ヘッダーから「Online Tor」をクリックすることで、Torネットワーク上に設置されているSearXNGインスタンスを検索できます。
ただし、適切なSearXNGインスタンスを探し出すために、次のような事項を考慮することが必要です:
プライバシーの懸念:
公開されているSearXNGインスタンスを使用する場合、検索トラフィックがそのインスタンスをホストしているサーバーを通過します。
SearXNGはオープンソースで改変が容易であることから、サーバーの所有者や管理者が検索クエリやその他の情報を収集するようにプログラムを改変している可能性があります。プライバシーに対する懸念がある場合は、自分でSearXNGをホストするか、信頼できるホスティングプロバイダーを選択することが重要です。
パフォーマンスの問題:
公開されているSearXNGインスタンスは、多くのユーザーが同時に利用することがあります。そのため、検索のレスポンス時間が遅くなる可能性があります。特に混雑時やリソースが制限されている場合、またはインスタンスの設置場所があなたの在住する場所から遠く離れている場合に、検索の速度が低下することがあります。
SearXNGをカスタマイズする
自身でホストする場合にせよ、他人のインスタンスを間借りする場合にせよ、SearXNGの挙動は細かく制御することが可能です。
ここでは、SearXNGの設定について簡単にご紹介します。
SearXNGインスタンスへアクセスしたら、右上の「詳細設定」をクリックしましょう。
ここからSearXNGの挙動を各種設定することとなります。
なお、設定項目はすべてHTTP Cookieに保存されます。
- 一般: Webサイトのデフォルトでの挙動を設定します(検索対象とする言語、サジェストのソース、セーフサーチの有無など。)
- ユーザーインターフェース: SearXNGのUIに関する設定項目です(言語、テーマ、検索結果の表示方法ー例えばInfinite Scrollの有無など)
- プライバシー: 検索結果に表示されるWebサイトに対するプライバシー保護を設定します。例えば、画像検索では、SearXNGをプロキシとして画像をリクエストすることで、オリジンサーバーにIPアドレスが暴露されることを防ぐことができます。
- 検索エンジン: 結果セットに含む検索エンジンを選択することができます。検索結果のレスポンスが遅い場合には、ボトルネックになっている検索エンジンを除外することで応答速度を改善することができます。
- 特殊クエリー: 検索画面で使用できるSearX独自のクエリを設定します。例えば、md5プラグインをオンにし、「md5
」で検索すると、当該文字列のmd5ハッシュ値が検索結果に表示されます。 - クッキー: SearXNGの設定はHTTP Cookieに保存されますが、そのCookieの保存状態を確認するためのタブです。設定を他のインスタンスに引き継ぎたい場合、表示されているCookie文字列を移行先インスタンスにインポートすることで、同じ設定状態を保つことができます。
より高度なセキュリティ保護
ここまで、SearXNGの活用を通した、検索エンジン経由でのプライバシー漏洩リスクの対策についてご紹介しました。
しかし残念ながら、検索エンジンのプライバシー強化だけでは安全なインターネット環境を実現したとは言うことができません。
その代表的なものの1つが、電話番号から個人情報が漏洩するリスクです。
インターネット上における多くのサービスが、個人を一意に特定するためにユーザーに電話番号の入力を強制していることは周知の通りです。
Webサイトへの登録時に電話番号の入力を強制することで重複アカウントの保有を禁止したり、電話番号から個人の信用情報を調査機関に問い合わせることさえ可能です。
また、電話番号は個人の特定だけでなく、ジオブロッキングなどの用途にもしばしば用いられます。
こうしたリスクを回避する上では、世界中のユーザーに無料の使い捨て電話番号を提供するSMSOnlineが有用です。
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